漆喰の中にもピンキリがある?本物素材の見分け方
2025/08/08
「自然素材の家」「漆喰仕上げの壁」と聞くと、体に優しく、調湿や消臭の効果があるイメージを持たれる方が多いと思います。最近では、住宅展示場やモデルハウスでも「漆喰を使っています」とアピールされることが増えてきました。
しかし、ひとくちに「漆喰」と言っても、その中身はすべて同じではありません。実は、漆喰の中にも「本物」と言えるものと、「実はそうでもない」ものが混在しているのが現実です。
今回は、そんな“漆喰のピンキリ事情”と、本物の素材を見分けるためのポイントについて解説します。
そもそも漆喰とは?
漆喰とは、消石灰を主成分とした自然素材の塗り壁材です。古くから日本の城や蔵にも使われてきた、歴史ある建材であり、呼吸する壁材として知られています。調湿性や抗菌性に優れ、見た目もやさしく、静かな高級感があります。
また、ビニールクロスとは違って静電気を帯びないため、ほこりが付きにくく、室内の空気を清潔に保ちやすいという特徴もあります。
実は「漆喰風」も多い
住宅業界では、塗り壁の見た目を漆喰風に仕上げるために、合成樹脂や化学接着剤を混ぜた「漆喰風」の材料が使われていることも少なくありません。
外から見ただけでは本物の漆喰とほとんど見分けがつかないため、「漆喰仕上げ」と書かれていても、実際には自然素材とは言い難い成分が含まれているケースもあります。
なぜこのようなことが起きるかというと、本物の漆喰は扱いが難しく、左官職人の高度な技術が必要だからです。施工に手間がかかる分、費用も高くなりがちです。そのため、安価で施工しやすい「漆喰調の塗り壁」が市場には多く出回っているのです。
見分けるための3つのポイント
では、漆喰が“本物”かどうかを見極めるには、どこに注目すればよいのでしょうか。見た目だけでは判断できないため、以下のような情報を確認するのがおすすめです。
【1】主成分は「消石灰」かどうか
漆喰の主成分は、石灰石を焼いて作る「消石灰」です。製品の説明書やカタログに、消石灰が主原料として明記されているかを確認しましょう。「合成樹脂」「アクリル」「ビニル」などの表記があれば、それは自然素材とは言いにくい合成素材の可能性があります。
【2】接着剤を使用していないか
本来の漆喰は、化学接着剤を使用せず、消石灰の持つアルカリ性と、炭酸ガスとの化学反応によって硬化します。これにより調湿性や消臭性が保たれますが、施工性を高めるために接着剤を添加している製品もあります。化学成分が入ると、性能や安全性に影響する可能性もあるため、注意が必要です。
【3】施工方法は“左官仕上げ”かどうか
本物の漆喰は、職人の手仕事で塗り上げられます。コテムラの表情や、やわらかい陰影が味わいになります。逆に、クロス(壁紙)に漆喰風のプリントが施されたものや、ローラーで施工する簡易な塗料タイプは、見た目こそ似ていても、本物の漆喰とは異なるものです。
なぜ本物の漆喰を選ぶのか?
本物の漆喰は、施工に手間も時間もかかりますし、コストも少し高くなります。それでも本物にこだわる理由は、「素材が持つ本来の性能」と「経年変化の美しさ」が、暮らしの中でじわじわと実感できるからです。
たとえば、梅雨時でも部屋がべたつかない。冬の結露が起きにくい。匂いがこもらず、空気がすっきりしている。これらは、見た目だけでは得られない“本物素材の力”によるものです。
また、多少の汚れや傷がついても補修がしやすく、手を加えながら永く付き合っていけるのも漆喰の魅力です。
まとめ:見えない“中身”にこそ価値がある
「漆喰」と書いてあっても、必ずしもすべてが同じではありません。
素材の中身を知ることで、住宅の空気環境や健康性、快適さは大きく変わってきます。
本物を選ぶには、見た目ではなく、成分や施工方法、そして作り手の姿勢を確認することが大切です。
一生ものの家だからこそ、目に見えない部分にも本物を選びたい――そんな価値観を大切にする方に、漆喰という素材はきっと応えてくれるはずです。



