住宅性能に影響する第一種と第三種換気とは
2025/12/22
高気密・高断熱住宅が当たり前になった現在、24時間換気は「付いていればよい設備」ではなく、住宅性能を左右する重要なシステムになっています。
中でも議論になるのが「第一種換気」と「第三種換気」の違いです。
本コラムでは、単なる仕組み比較にとどまらず、空気圧・温熱環境・気密性能との関係まで踏み込み、どんな家にどちらが適しているのかを整理します。
24時間換気の前提条件
2003年以降、日本の住宅は建築基準法により24時間換気の設置が義務化されています。
これはシックハウス対策として、ホルムアルデヒドなどの化学物質を常時排出するためのものです。
つまり、第一種・第三種は「どちらが良いか」ではなく、
どういう思想で空気をコントロールするかの違いと捉える必要があります。
第三種換気とは|排気主導のシンプルな換気方式
第三種換気は、排気のみを機械で行い、給気は自然給気に任せる方式です。
・排気:換気扇で強制排気
・給気:給気口から自然に流入
この方式では、室内が負圧になります。
排気によって室内の空気が引き抜かれ、その分、外気が隙間や給気口から入ってきます。
第三種換気の特徴
・構造がシンプル
・初期コストが低い
・メンテナンスが比較的容易
一方で、給気量や給気経路は外気条件や気密性能に大きく左右されます。
第三種換気と気密性能の関係
第三種換気は、高気密住宅でなければ性能が安定しません。
気密が低い住宅では、意図しない隙間から給気が行われ、以下の問題が起きやすくなります。
・壁体内結露のリスク
・床下や天井裏からの空気侵入
・局所的な冷気流入
つまり、第三種換気は
「気密が取れていること」が前提条件の換気方式です。
第一種換気とは|給排気を完全制御する方式
第一種換気は、給気・排気の両方を機械で制御する方式です。
・給気:機械で強制給気
・排気:機械で強制排気
多くの場合、全熱交換型換気システムが採用され、排気する空気の熱(場合によっては湿度も)を給気側に移します。
第一種換気の特徴
・給気量と排気量を正確に制御
・室内の圧力バランスが安定
・温熱ロスが少ない
結果として、室内環境を設備としてコントロールできるのが第一種換気の最大の特徴です。
第一種換気は「中立圧」をつくれる
第一種換気の大きな利点は、室内を中立圧に近づけられる点です。
・負圧:外気を引き込む
・正圧:室内空気を押し出す
第三種換気は必然的に負圧になりますが、第一種換気では給排気量を調整することで、
不要な空気侵入・漏気を抑制できます。
これは、高性能住宅において非常に重要なポイントです。
温熱環境への影響の違い
第三種換気の場合
・冬:冷たい外気がそのまま侵入
・夏:高温多湿な空気が直接入る
そのため、エアコン負荷が増えやすい傾向があります。
第一種換気の場合
・排気の熱を回収して給気
・室温変動が小さい
特に全熱交換型では、温度だけでなく湿度も回収するため、
冷暖房効率を維持したまま換気が可能です。
メンテナンスと故障リスクの考え方
第一種換気は「高性能=壊れやすい」と思われがちですが、
実際の差は設計とメンテナンス計画にあります。
・第三種:換気扇は安価だが台数が多くなる
・第一種:本体価格は高いが、集中管理しやすい
どちらもフィルター清掃は必須であり、
メンテナンスを前提に設計されているかどうかが重要です。
どちらが優れているのか?
結論として、
住宅性能を総合的にコントロールしたい場合は第一種換気、
コストとシンプルさを優先するなら第三種換気と言えます。
ただし重要なのは、
「第一種だから高性能」
「第三種だから劣る」
という単純な話ではないことです。
換気方式は「住宅思想」で選ぶもの
換気方式は、断熱・気密・素材選び・空調計画と密接に関係します。
特に高性能住宅では、換気単体ではなく、
家全体をどう制御するかという設計思想が問われます。
24時間換気は目に見えませんが、
住み心地・耐久性・光熱費に長く影響し続ける設備です。
だからこそ、方式の違いを理解した上で選択することが重要です。






